港まつり(5)

「おじさんなに売りはるね?」

「こんにゃくや。」

「そりゃめずらしい。よく売れるやろ。」

おとうさんは、横にごろりと寝ていた若い男と話をしています。

「坊や。わしの売るもの見せたろか?」

束は坊やと言われたことは不服でしたが、この若いおじさんの商売も興味がありました。

束が黙ってうなずくと、おじさんは横に置いた大きな風呂敷包みをあけました。中にはおもちゃがたくさん入っています。

プラモデルの飛行機、レーシングカー、万年筆、小さなカメラなど、いろいろです。束は思わずほしいなあと思いました。

「坊や。中から当たりをひいたらあげるぜ。」

といって、おじさんは小さなカードの入った箱を出しました。

「この中にはあたりカードがたくさん入っているんだよ。見ててごらん。」

おじさんは、中から無造作に一枚のカードをつまむと、はがしてみました。あたり!と書いてあります。

「さあ坊や、きょうは仲間だからただで引かせてやろう。当たればこの賞品もやるよ。」

次のページへ

目次へ戻る