港まつり(2)
束はその日の晩御飯のとき、おそるおそるきいてみました。
「おとうさん、港まつりにぼくと二人で、こんにゃくを売りに行こうよ!」
おとうさんは、びっくりしたように、ご飯を食べる箸を止めて、束の顔を見ました。
「港まつりだって?」
「うん。この日はね、店がたくさん出て、見物人も多く、とってもにぎやかだそうだよ。」
「ふふふ。行ったこと見ないのに見てきたようなことを言うなあ。」
そういいながら、おとうさんは、
「そうだな。まつり見物をしながら、二人でこんにゃく売りに行こうか?」
「うわーい!うれしいなあ。」
束は手をたたいて喜びました。生まれてはじめて海の見える町へいけるのです。海は想像もできないほど大きくて、白い鳥やきれいな船が見えるのです。
束はその晩、よく眠れないほどうれしさでいっぱいでした。
おとうさんは、遠い町に材木を運んでゆくトラックに頼んで、こんにゃくや、しらたきもいっしょに運んでもらう約束にしました。