マッチ売りの少女(6)

「さあ、早く中へお入りなさい。」

そして、束の後ろにいる少女をみて、びっくりしたようにいいました。

「おや?この子は、なくなったわたしのむすめにそっくりだ。」

と、部屋の真ん中のガラスの箱に飾ってある人形を指差しました。そういえば、大きさも、顔立ちも、うりふたつです。この人形はおばあさんの娘が死んだ時、人形師にたのんでつくらせたものでした。

おばあさんは、さもうれしそうに、三人をご馳走の並んでいるテーブルのいすに座らせて、にこにこしています。束は今まで見てきた少女の身の上を、そっくり話しました。

おばあさんは、ゆっくりうなづきながら、

「そう。それはかわいそうねえ。ちょうどいいから、私の娘になってくれないかしら?」

束は思わず道子ちゃんと顔を見合わせて喜びました。でも、少女のおとうさんがそれを聞いて、おこってきたらどうしましょう。

「わたし、怖いわ。」

と、少女はふるえながらいいました。

おばあさんは束の耳に何かささやきました。束はにっこり笑って、あのガラス箱から人形を出して表に行きました。

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