こんにゃくの歌 その10

このおじさんは、バスのなかでも、しきりに乗客にほめて話しました。

このごろでは、おとうさんもおかあさんも、仕事に追われるほど、毎日大忙しです。

お父さんもまだ少しびっこを引きますが 、はちまき姿できびきび仕事をしています。お母さんは、店に来るお客さんの相手をしたり、ひまを見て配達したり。

もしベレー帽の宮本さんが見たら、うれしくて笑いが止まらないと、さっそく、詩を作るかもしれません。

束がしらたきの作り方を知っていたことについて、たびたびお父さんは聞きますが、束は困った顔をします。だって、それは、誰にも話してはいけない束と郵便箱のおじさんの秘密の約束だったのですから。

次のページへ

目次へ戻る