母リスと子リス(11)
束は息を切らして、やっと湖にたどり着きました。
ああよかった!
きのう、しかけた鳥もちもかすみ網も、朝もやの中のやまもものきのに何の変化もなく、静かに置かれています。
束は木に駆け登って、ほら穴の口からその二つを急いで取り払いました。
「ごめんねリスさん。」
束はヤマモモの木にぺこり頭を下げると、すたすた帰り始めました。するとあのほらなの中から、ちょろりと顔を出した二匹のリスが、じっと見送っていました。
山をおりた束は、バス駅でしきりに郵便箱のおじさんに頭を下げています。
「いいよ、いいよ。そうあらたまらなくても。君はとても後悔してるんだから。」
郵便箱のおじさんも、やっと機嫌を直して言いました。